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CFROI  キャッシュフロー企業評価

バートレイ・J・マデン 著,
福島 毅 他訳

A5判/396頁
本体価格9,800円

ISBN4-87315-102-3


(本書について)
 本書は,原著出版と同時に米国およびヨーロッパでベストセラーとなった話題のキャッシュフロー・リターン・オン・インベストメント(CFROI)手法による企業評価モデルの解説書である。読者としては,企業価値を評価し投資の意思決定を下すファンドマネージャーと,与えられた環境を前提に企業の投資案件を選択し株主価値の最大化を目指す経営者が想定されている。
 企業評価の技法としてのCFROIは,キャッシュフローを割引いて評価するオーソドックスな手法の発展形である。特に従来資産からのキャッシュフローと将来資産からのキャッシュフローを明確に区別してそれぞれについて評価を下すことなどに特徴があり,そのために様々な実践的で巧妙な工夫がこらされている。それぞれの工夫は本書のなかで解説されており,伝統的な市場観と整合的であることが理解できる。
 また,CFROIモデルは,個別企業の評価を実践的な手法で解決していこうとする点で,ファイナンスの世界で主流である数理的な手法とは大きく趣を異にする。むしろ,モジリアニ/ミラー以来の企業理論の流れをくむ,非常に実務的なモデルであると言える。このような企業評価手法を,ファンドマネージャーが株価の評価に利用するのは当然だが,近年経営の意思決定実務の世界では,企業の事業計画の事後・事前の評価を行う尺度として導入することが注目を集めている。これは,事業計画を事前に評価し,また事後的に事業の成果を計測しフィードバックにつなげようという意図である。CFROIによる見方が,企業の置かれている現実をトータルなシステムとして的確に表現することが主張され,CFROIからみた米国企業の経営の実例が,いくつか示される。
 単なる企業価値の評価の点でも,経営の意思決定のための尺度の点でも,CFROIのライバルはスタンスチュワート社によるEVAである。本書ではEVAィへの批判が全面的に取り上げられているのも非常に興味深い。