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Excelで学ぶ 計量経済学入門
新潟産業大学大学院経済学研究科経済分析・ビジネス専攻教授 橋本次郎 著
A5判/268頁
本体価格3,600円
ISBN4-87315-083-3
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(本書の目的)
計量経済学を理論的に理解し,実践的に利用しようという目的を達成するためには,どうしても簡単な数値例を用いて,実際に理論通りになることを確かめながら学習するのが望ましい。それを解決するための方策がExcelなどの表計算の利用である。特に,Excelの表計算に慣れてくると,計量経済学で行われる計算が素早くなり,理論的な理解や筋道が計算手順や計算結果と結びつくようになる。
本書は,重要と思うけれども,敬遠されがちな授業科目である計量経済学の基本を表計算ソフトExcelを通して学ぶために作られた教科書である。Excelを利用しながら,計量経済分析の考え方や分析方法,分析結果の見方の基本を学ぶ。特に経済学部などに所属する文科系の学生を想定しており,数学や統計学が少し苦手であるが,パソコン操作の中で学習することに興味があり,直感的な理解に慣れている学生に適している。
(本書の特長)
- Excelの表計算を利用することを前提にしているが,数値例題や練習問題を,電卓で計算するもの(当然Excel計算も可能)とExcelで計算することを前提にしたものと,2種類用意している。
- Excelは少し慣れれば電卓計算と比較して,計算操作の容易さ,計算スピードの速さ,その計算量の多さ,グラフの簡単利用等で目をみはるものがある。その長所をいかしながら計量経済学の理解を促進させる。
- Excelの使い方(表計算や図表の作り方)を幅広く習得できる。
- Excelを利用することにより電卓では時間がかかっていた,実際問題の計量分析にも対応できる。
- 本書で用いられる例題や練習問題はインターネットを利用してダウンロードすることにより,(本来は重要であるが,授業では時間がかかる)データ入力の手間を省いて,自分自身のパソコンにExcel形式ですぐに計算可能なようにしてある。
- 独学自習できるように丁寧かつ簡潔な解説と計算手順が盛り込まれている。
(本書の概要)
最近の計量経済学の発展・展開は目をみはるものがあるが,本書は入門として計量経済学の基本的内容のみを取り上げる。よって推定では2段階最小2乗法までしか取り扱わない。また最近大いなる発展を見せている時系列分析も取り扱わない。
第1章では,Excelの起動・終了から始めて本書でよく使われる表計算,表の装飾,グラフの作成などのExcel操作について,基本的なものを実例を交えて復習する。第2章では,計量経済分析でよく用いられる経済データについての理解を深める。ここでは物価指数,国民所得統計,その他の主要経済データを学ぶ。そしてExcelの簡単表計算処理とグラフ機能を用いて名目と実質,変化率とシェア,寄与率と寄与度などを学ぶ。第3章では,経済理論と経済モデルの関係,経済モデルと経済データの関係を学ぶ。そして計算で必ず用いられる和記法(和記号Σの計算)とExcelの表計算の関係とそのデータ処理を学ぶ。第4章では,もっとも簡単な2変数XとYを用いる単純回帰モデルを取り上げ,分析手法の最小2乗法やパラメータの推定,推定結果の評価法である決定係数を学ぶ。理論的な理解とその計算方法習得の為にExcelの表計算とグラフを利用する。第5章では,説明変数が2つ以上という多重回帰モデルの回帰分析を学ぶ。説明変数が2つの場合の最小2乗法を学び,あわせてパラメータ推定の計算法と決定係数の計算法をExcelで習得する。第6章では,検定に関係する統計学の簡単な復習を行いながら,単純回帰モデルを使って最小2乗法によるパラメータの推定の意味とその統計的な評価について仮説検定を中心に学んでいく。実際の検定作業とその手順をExcelで習得する。第7章では,最初に単純回帰分析の拡張である多重回帰モデルの推定と検定を学ぶ。その検定手順をExcelの表計算で習得すると同時に,Excelの回帰分析ツールの利用方法と分析結果の見方を学ぶ。回帰分析ツールを用いてダミー変数の使い方,非線型モデルの回帰分析など多重回帰分析の応用的使い方を学ぶ。第8章では,回帰分析の結果の良し悪しを判断する基本は,前章までに学んだ決定係数,パラメータの統計的検定(いわゆるt検定とF検定)以外に,誤差項の系列相関の有無がある。本章ではその判断基準となるダービン・ワトソン比を中心に学んでいく。第9章では,方程式自体が複数というより現実的な連立方程式体系の場合を取り扱う。連立方程式で構成されるモデルを同時方程式モデルと呼ぶが,同時方程式モデル特有のモデル構成の問題や推定問題を学ぶ。第10章では,計量経済モデルとは推定された同時方程式モデルのことである。計量経済モデルの醍醐味の1つは予測やシミュレーションである。簡単な計量モデルを使って実際の予測やシミュレーションを理解することが本章の目的である。また,付録として,例題および練習問題の解答を収録している。
(もくじ)
第1章 Excel基本操作の復習
第2章 経済データとその処理(Excelによるデータ処理)
第3章 経済データと経済理論(Excel表計算と和記法の関係)
第4章 単純回帰モデル
第5章 多重回帰モデル
第6章 単純回帰モデルにおける推定と検定
第7章 多重回帰モデルにおける分析(Excelの回帰分析ツールの利用)
第8章 系列相関とダービンワトソン比
第9章 同時方程式モデルとその推定
第10章 同時方程式モデル(=計量経済モデル)による予測
付録 例題,練習問題の解答 |
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