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SASによる統計学
吉田光雄・狩野裕・原田章共著
A5判 300頁
【発売予定】 |
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文科系、理科系を問わず多くの科学で統計学が活用されている。
急激な勢いで高性能化されつつあるパーソナル・コンピュータと相俟って、データ処理が容易に行われるようになった。しかし、コンピュータが普及し、強力な統計処理アプリケーションが開発されればされるほど、ユーザーサイドにおける統計学の理論と技法に対する理解は薄らいでゆくように思われる。
ユーザーフレンドリなコンピュータOSと統計ソフトの出現は、アプリケーション・ユーザーの数を増大させてはいるものの、その中味がブラックボックス化され、インプットとアウトプットのみをつないで事足れりとする傾向が、次第に助長されていくように思われるからである。これは高度の情報教育としても望ましいことではない。
各大学で、コンピュータ・リテラシーとして統計学に関する科目が、高いウエイトを置いて学習されているが、初等統計学を学習中の学生にとって、早々と統計アプリケーションに慣れ親しむのではなく、原点に立ち返った統計学の学習が望まれるところである。学生のコンピュータ環境が豊かになり、すぐれた表計算や総合統計処理アプリケーションが氾濫しているからこそ、利便性のみが追求されのではなく、原点に立ち返った理論の学習が望まれるところである。
かってのデータ処理の一つの方法は、電卓を用いて計算することであり、その煩雑さの故に次第に使われることが少なくなった。しかし、一つひとつ数字を入力することにより、統計処理の中身の理解が深められて行ったのも事実である。誤入力が多く、大量のデータ処理には不向きであり、また、反復計算では再度のデータ入力が要求され、高度の計算には耐え得ないが、統計学学習(演習)の方法として、その価値を低めるものではない。
そこで、思い起こされるのが、コンピュータ言語によるプログラミングである。統計処理の中味(計算手順)の理解なくしては、プログラミングはできない。
コンピュータ利用法は、かってのメインフレーム時代のプログラム全盛の時代から、パーソナル・コンピュータが普及し、GUI によるアプリケーション万能の時代を迎え て、様相は一変した。プログラミングの困難さを乗り越える学生は少数派となり、特殊な場合を除いて、情報処理入門科目でコンピュータ言語(Fortran, Pascal,C言語など)が教えられることはない。Webページの構築用にHTMLや、高度の文書整形用にLaTeXが学習されるが、かってのコンピュータ言語全盛は昔日の感が強い。
しかし、いかなる時代にあってもコンピュータ使用の原点は言語である。初等情報教育はともかく、中級以降の情報教育に、言語教育は欠かせないところであ ろう。
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