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Excelによる多変量解析
前川眞一・菊地 賢一著
A5判 300頁
【発売予定】 |
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内容の概説
既存の類書には以下の2つのような内容のものが多い。
(1) 統計解析用の専用のフォームが用意されていて、主にその利用方法についてだけ言及しているもの
(2) 多変量解析のような複雑な処理までは言及せずに、Excelに用意されている統計解析用の分析ツールでできる範囲の解説をしているもの
(1)のような内容のものには、多変量解析まで言及しているものもあるが、Excelを利用しているというよりはむしろExcelの上で動く統計解析パッケージの使い方を解説していることになり、Excelや統計解析の手法そのものの理解は深まらない。また、(2)のような内容では、Excelの機能だけで行なえる統計処理の範囲内の解説で、多変量解析までは学習できない。
本書では、まずExcelに関するデータ入力法などの基本的な操作、関数、グラフの作成など、Excelの機能のうちでデータ解析を行うために必要となる部分を解説する。文書作成などに必要な表作成に関する細かい機能に関しての解説は他書にゆずることにする。また、統計解析のために特に必要なExcelにおけるデータ形式と行列の取り扱い方についても解説する。次に、Excelの分析ツールに用意されている基礎的な統計解析について、それぞれの解析手法の内容とExcelにおける利用方法の解説を行う。その後で、各種多変量解析手法についての解説とExcelでの操作方法について解説を行う。
対象となる読者は、Excelと多変量解析(統計解析)の初心者が中心となる。このため本書では、できる限りユーザ定義関数やフォームなどを用意することは避け、Excelの操作と関数のみで統計解析を行うこととする。Excelの単純な操作では実現できないベクトルに関しての収束計算が必要な部分(具体的には固有値の計算やクラスター分析)については、ユーザ定義関数として本書で紹介する。このようにできる限りExcelをブラックボックスとして利用することを避け、統計解析とExcelの双方に関して適度に解説を与えることで、読者自身が多変量解析の手順をExcelを用いて行っていくことになる。こうすることにより、読者はExcelの操作方法そのものを習得できるとともに、統計解析の手法の手順を学ぶことで多変量解析に対する理解も深まる。結果的に、読者がExcelを統計解析以外に利用する際にも応用がきき、逆に他の統計解析パッケージを利用する際にも多変量解析に関する知識が役立つものと考える。
本書の構成
1. Excelとは
表計算ソフトの概念とデータ入力の方法などのExcelの基本的な操作について紹介する。また、合計(SUM)や平均(AVERAGE)などの簡単な関数、グラフの表示、印刷設定などを解説する。
2. ワークシート関数入門
Excelにおける関数の利用方法について解説する。表計算ソフト特有のセルの相対参照、絶対参照の違いやテーブルルックアップ関数などにも言及する。
3. データと行列
データ解析を行う際には、Excelに直接データを入力せずに、入力データを外部ファイルとして読み込むこともある。この章では、Excelで取り扱えるデータの形式(CSVなど)について解説する。また、多変量解析を行う際には行列に関する操作が特に必要となるため、Excelにおける行列の取り扱い方と行列に関するかけ算(MMULT)や逆行列(MINVERSE)などの関数を紹介する。
4. 基礎統計
データの代表値や分散、共分散、相関係数など、基礎統計量の算出方法と、その定義や統計的な意味に関する解説を行う。
5. 検定・分散分析
Excelの分析ツールに準備されている範囲で、t検定、z検定などの各種検定と分散分析について解説する。
6. 回帰分析
Excelによる回帰分析の方法を解説し、変数選択のための指標の計算を行う。Excelの分析ツールには回帰分析が用意されているが、その利用方法と、その機能を使わずに行列計算だけで行う方法も紹介する。また、多項式近似、スプラインなどについての解説も行う。
7. 判別分析
Excelによる線形判別分析の方法を解説する。
8. 因子分析・主成分分析
Excelのユーザ定義関数として、固有値の計算ルーチンを紹介し、因子分析・主成分分析について解説する。
9. 数量化法
ここまでに紹介した各手法と数量化I, II, III類の対応について解説し、Excelにおける計算方法を紹介する。
10. クラスター分析
Excelによるクラスター分析について解説する。 |
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