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Excelでわかる会計・財務管理
公認会計士 吉田 康英著

A5判 300頁

現在のオフィスでは1人に1台のパソコンが当然であり、手書きの書類や電卓による集計作業は過去のものとなっている。とりわけExcelに代表される表計算ソフトの威力は抜群であり、単純な集計作業はもちろん、そのグラフ作成機能や様々な関数機能を駆使することによって、説得力のあるレポート等を作成することができます。また、文書様式によってはワープロよりも簡単に作成できるため、ビジネス社会での利用度は高いと言える。

このような状況の下で、ビジネスにおいてExcel操作等の理解は必要不可欠であるが、実際にはどのような業務分野で活用されるのでしょうか。やはり計数管理が中心となる経理や財務管理の会計関連分野で最も活用されているのが実情である。販売数量が5%増加、販売単価が2%下落した際の損益影響といったシミュレーション分析、リースか購入か等の投資意思決定等といった試算を繰り返す分野において、Excelが絶大な効果と威力を発揮することはいうまでもありません。また、国際会計基準では割引現在価値の思考(企業年金、金融商品、リース等)が不可欠であるが、Excelの関数機能を活用すれば、瞬時に計算することができます。貸借対照表と損益計算書等に基づくキャッシュフロー計算書も、Excelの基本操作だけで簡単に作成が行えます。

 今までの会計・財務管理は、計数作成が最終目的のような感じがありました。計数を得るには、電卓と鉛筆による悪戦苦闘が必要だったからである。ともすれば計算が面倒=会計・財務管理も面倒と考える向きがあったのではないでしょうか。今ではこのような面倒な作業をExcelが簡単に計算を行ってくれます。21世紀のビジネスマン、ウーマンは、得られた計数を如何に活用していくのかが問われることになります。

 このような状況をふまえ本書では、ビジネス社会で想定される各分野毎に「理論」と「実務」および「情報リテラシー」を融合的に学習することに主眼をおいて執筆されています。

具体的にはExcelの機能のうち、

取引現在価値、内部収益率等の財務関数、回帰分析等の統計関数機能

統計情報の加工に際してプレゼンテーションを意識したグラフ作成機能

インターネットを活用したデータのダウンロード機能

等について、それらをいかに実務で活用していくのか、その根底にある会計や財務管理の考え方はなにか等の一連の関係を学べるようになっている。

 本書は、会計・財務管理に関する理論と実務、および情報リテラシーに興味のある経済系(経営、商、経営情報等を含む)学部学生やビジネス社会でこのExcelの活用と習熟が必要不可欠の実務知識となっているビジネスマン、ウーマンを対象としている。




 構成としては大学での通年講義を想定し、第?部「財務諸表分析」、第?部「財務管理」、第?部「経営意思決定」、第?部「ビジネスレポート」の4部、全24章で構成されている。

第?部「財務諸表分析」ではExcelおよび会計情報の基礎を理解するため、企業の通信簿である貸借対照表や損益計算書に基づく経営分析手法につき、主にグラフ作成機能をもとに取り上げている。また、キャッシュフロー計算書や税務申告書等の構造についても、Excelの計算機能によれば簡単に作成できることを体験できるように工夫されている。

第?部「財務管理」では実務で必要な損益分岐点分析、資金繰管理、税効果考慮後のキャッシュフロー分析等につき、グラフ作成機能に加え、財務・統計関数機能をもとに取り上げている。

第?部「経営意思決定」では、セグメント別会計、将来キャッシュフローに着目したプロジェクト評価、セールスミックス等といった応用的な内容につき、おもに統計関数機能をもとに取り上げている。

第?部「ビジネスレポート」では、インターネットを通じたデータのダウンロード、顧客管理情報の整備、管理表の作成等といったビジネス現場での活用方法が取り上げられている。また、Excelにて作成したデータとワープロソフトのMS-WORD、プレゼンテーションソフトのPowerPoint間との相互利用にも触れている。

 なお、第?部、第?部は基礎的な内容、第?部、第?部は応用的な内容であることから、半期毎のセメスター制を採用する大学の場合には、前期に第?・?部、後期に第?・?部といったような利用も可能となっている。

 21世紀のビジネス社会は「鉛筆と電卓(かつてはそろばん)」ではなく、「パソコンとインターネット」の時代である。また、経済環境の進展に応じて、国際会計基準やファイナンス理論は複雑となっており、従来の手作業感覚では理解できなくなりつつあるのが現状である。本書を利用することによって、本書の読者は単にExcel操作だけでなく、計数感覚に強いビジネスマン、ウーマンになることが期待される。