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経済数学入門
奈良産業大学 竹山 理・根岸 章・福留和彦 著
250頁 |
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内容概説
経済学に実際にふれてみて,最初にその数学的装いの著しさに驚かされる。これは,誰もが経験することではないだろうか。今日では経済のさまざまな問題を取り扱うときに,数学が分野を越えてひとつの共通の言葉となっているのである。
ところで,言葉を習得するための一番の早道は,言うまでもなく現地を訪ねて見よう見まねで使ってみることだろう。本書では実例と問題を解きながら,経済学の現場でどのように数学が使われているかを体験し,経済学の初歩に入門するために必要な数学的基礎を学習する。まず第1部では,次の4項目を取り扱う。
1.関数とグラフ 2.方程式 3.等比数列 4.微分
内容は,あくまでも経済学の基礎を固めるための最低限の数学知識に限っている。各単元の構成は,数学の事項解説に続いて,例題A(数学の理解を深める例題),例題B(数学が経済学で使われる様子を示す例題)を配置し,これらには詳しい解答がつけられている。
また,各節の終わりには,問題A(数学を復習する問題,あるいは数学の発展問題)と問題B(経済学で数学の使わる実際を示す問題)を配している。本書の目次は以下の通りである。
第1部 経済数学への入門
1.関数とグラフ
1−1 関数の表し方と関数の性質
1−2 1次関数と直線
1−3 2変数関数と無差別曲線
1−4 2変数の1次関数と平面
2.方程式
2−1 1次方程式
2−2 連立1次方程式
2−3 2次方程式
3.等比数列
3−1 等比数列の一般項
3−2 等比数列を特徴づける式
3−3 等比数列の極限
3−4 無限等比級数
3−5 1階線形差分方程式
4.微分
4−1 平均変化率
4−2 微分の意味とグラフ
4−3 微分の計算
4−4 偏微分
次に第2部では,次の2分野を取り扱う。
第2部 経済数学の基礎
5.行列・行列式とその応用 6.微分とその応用
ここでも,数学上の証明を厳密にたどるようなことはせず,具体例を扱いながら理論の正当性を確認する。たとえば微分係数がプラスであるとは何を意味し,そのときにはどのようなことが分かるのかといったように,考え方の要点を実際に運用できる形で整理されている。
5.行列・行列式とその応用
5−1 2次行列と連立1次方程式
5−2 行列の演算と逆行列
5−3 行列式とその性質
5−4 ベクトルと内積
5−6 産業連関分析
6.微分とその応用
6−1 1変数関数の微分
(1)微分係数と接線
(2)導関数
(3)関数の増減
(4)高階導関数
(5)関数の凹凸
6−2 導関数の経済学における用法
(1)限界概念
(2)企業の利潤最大化条件
(3)限界量と平均量の関係
(4)費用関数の分析
(5)増加率あるいは成長率
(6)弾力性
(7)需要の価格弾力性と独占度
6−3 多変数関数の微分
(1)偏導関数
(2)接平面と全微分
(3)多変数関数の極値
(4)制約条件付極値問題
(5)ラグランジュの方法
(6)曲線群と包絡線
6−4 偏導関数の経済学における用法
(1)無差別曲線と限界代替率
(2)家計の消費最適化条件
(3)偏弾力性
(4)異時点間における最適化と時間選考率
(5)所得効果と代替効果
本書は「使える経済数学」の入門書を目指したものである。
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